「ももこの話」さくらももこ

さくらももこが亡くなってからというもの、さくらももこ関連の本を本棚の奥から引っ張り出して読みまくっている。

 

彼女のエッセイの中で評価が高いのが「さるのこしかけ」「もものかんづめ」「たいのおかしら」あたりだと思うが、この「ももこの話」が私は密かに好きなのだ。タイトル通りももこの話がいっぱいで、その中心はいつものように当然のように幼少期のさくらももこのことが綴られている。

(巻末でさくらももこへのインタビューがあったけど、今読むと少し物悲しい)

 

ももこの話で好きなのがトップバッターの「食欲のない子供」

さくらももこが幼少期に少食だったのは有名な話だが、給食が多すぎる!といった問題をコミカルに家での出来事も交えながら描いている。その絡めかたが絶妙で給食から母すみれの小言と悲哀、更にオチにアルジェリアとナイジェリアをぶっこんでくるさくらももこの上手さに思わず唸ってしまった。

あるあるなネタから日常の中にある笑いと悲哀、そしてしっかりオチもつける。これぞさくらももこではないか。

 

同書には「父ヒロシにまる子がお風呂場で歌を教える」お馴染のネタもある。

アニメや漫画でも幾度も見たような話だけど、やっぱり面白い。

ヒロシと風呂ネタは鉄板だと思う。教えた通りに歌えない適当なヒロシに、上から目線で熱心に教えるまる子、そして最後は近所のおばさんからの「お風呂の歌が聞こえている」という報告に愕然とするまる子。「お風呂の歌が聞こえている」と言っちゃうおばさんはややいけずな気がするが、その時のさくらももこの絶望を考えるとまたじわじわと笑えてくる。

 

他にも「おとうさんのタバコ・かきぞめの宿題・暑さのこと」など、さくらももこことまる子の小学生時代のエピソードが盛り沢山で楽しい。

 

※ちなみに巻末のさくらももこへのインタビューでは「50歳、60歳の自分ってどんな風?」という質問があって、「想像できないけど80歳になってもくだらないことをしてるんじゃないか」って答えてて、少しセンチメンタルな気分になってしまった。

 

ももこの話 (集英社文庫)

ももこの話 (集英社文庫)