「ハムスターに似ている」と同居人は言った
(※やや閲覧注意要素あり)
「ジャンガリアンハムスターを飼った」と以前書きました。
ジャンガリアンハムスターと10年後の恋人 - サイカナのいいもの
とろけるような温度にぽってりとしたお尻。かわいい、かわいい、かわいい。と可愛い要素しかないハムスターなんですが、意外な悩みを同居人と私にもたらすこととなりました。
事の発端は、同居人が購入してきたスーパーの惣菜です。
我が家においては惣菜に頼ることが多く、夕食では惣菜が一品プラスされることが日常なんですが、その日も298円くらいの唐揚げをゲットしたのでオーブントースターでカリッカリに焼き、ほくほく顔で私と同居人が食べようとしたその時でした。
「唐揚げってハムスターに似てる……」
同居人がとんでもない言葉を呟きました。よく見るとおもむろに人差し指で唐揚げをつついています。
私も人差し指で唐揚げをつつく。
確かに……、色も大きさもほどよく温められた温度も、ハムスターによく似ている。
テレビの音が響くリビングに唐揚げをつつく人間ふたり。
いや、いや。
ここで肯定してしまっては私も同居人もひょっとするとしばらく、下手すれば一生、唐揚げが食べられなくなるのではとの考えが頭によぎりました。
「唐揚げは唐揚げだよ」
打ち消すように言った私の言葉をかき消すように同居人が言う。
「そうだけど、やっぱり似てる」
じっと目の前の唐揚げを見ている。
「唐揚げは鶏でしょ」
強がってソレを頬張ってみたけど、なんかいつもよりおいしくない。
無邪気に回し車を回すハムスター。流れるテレビ。唐揚げを見つめる同居人。
唐揚げ、ハムスター、唐揚げ、ハムスター。
後で同居人も一口、二口唐揚げを食べていたけど「明日食べるわ」と言って残しました。
ジャンガリアンハムスター=唐揚げ
んなわけない。
だけれどハムスターを飼育して、温めた唐揚げに似ていると気づいてしまった私たちに残された道は「当分、家では唐揚げは食べない」という選択肢のみ。
似ていると気づいてしまった故に訪れた結末。
ハムスターを見ても「唐揚げだなあ」と思わないのに、唐揚げを見ると「ハムスターだなあ」と感じてしまうので不思議でした。
余談
昔「ブタがいた教室」って実話から映画になった話があったけど、こんな気持ちだったのかなと思いました。